1924年発行のアルバムの修復をした。依頼主ご自身が修復家で、元々のご依頼主から修復依頼があったとのこと。本文写真が印刷された本文紙の修復をされた上で、表紙の布装の傷みを直し、製本し直してほしいというご依頼が本の修復工房にあった。
修復前 表紙
修復前 表装材欠損の様子
表紙で修復すべき箇所は、角を含む表紙布の欠損部分、蝶番の布の浮き、内側の蝶番部分の補強等であった。まず、欠損部分を埋める布と和紙を検討、何種類かの白生地と厚手の和紙をアクリル絵の具で染色してみた。元の色と風合いを合わせるのに苦労したが、最終的に布と和紙を、近い色合いに染めることができた。
欠損箇所の修復後、蝶番部分の布の浮きを直すため、表紙内側から糊入れをした。その上で、裏側の蝶番部分には表紙と同じ色合いに染めた厚手の和紙を補強として貼りこんだ。紐を通すハトメは一部錆がでていたので、すべて新しいものに交換した。
欠損箇所の修復後、蝶番部分の布の浮きを直すため、表紙内側から糊入れをした。その上で、裏側の蝶番部分には表紙と同じ色合いに染めた厚手の和紙を補強として貼りこんだ。紐を通すハトメは一部錆がでていたので、すべて新しいものに交換した。
欠損箇所の修復後
蝶番部分の浮きを直す作業
ここまでの時点で、表紙を修復家のご依頼主に一旦戻し、確認していただいた後、本体と共に再びお預りした。本体を糸かがりするだけでは強度が保てないので、本文紙(間紙を含む)の綴じ部分をすべて糊で仮止めした後、平綴じした。本体と表紙に通す紐はオリジナル刺繍糸の色褪せしていない部分で確認し、ベージュの刺繍用糸を14本取りにして結び綴じした。