2019年6月28日金曜日

学術書の修復-II


国立感染症研究所所有の和文の学術論文集「第三回 第四回 癩學會發表論文」を «LEPRABIBLIOTHECA INTERNATIONALISVol. I »とともに、仲介していただいた会社を通して、お預かりした。修復すべき箇所は、表装材の劣化による破れ、切断、見返しも同様に劣化による破れ、本文の最初に綴じ込んである図版の間紙の破れ。ステープル綴じによる錆がでているので、綴じ直しをすることにした。


まず、おもて・裏の表装材をはずした。背表紙を先にはずそうとすると、劣化のため粉々に割れるおそれがあるので、背はそのままにさびたステープルを切断してページを一枚づつはずしていった。

背表紙をそのままにして、ページを一枚づつはずす

ステープル綴じの穴を利用して、製本用麻糸で綴じ直した。おもて・背・裏表紙を裏打ちしてつなげ、破れて傷みが激しかった見返しを除去、おもて表紙と裏表紙の内側に見返しを新たにつけた。


麻糸で平抜き綴じ
表紙のつなぎ
図版に保護用の間紙を付け、本体と表紙を背とのどの部分で糊付けした。


中性紙による保護ジャケットを作成した。

修復・記録:平まどか

記録の公開をご快諾いただきましたご依頼主に、感謝いたします。