2016年11月17日木曜日

仮綴じ本の製本



1920年発行の仮綴じ本。
修復前は背表紙の欠損と本文紙、表紙の経年劣化やしわがある状態。
ご依頼主のご希望で仮綴じのままではなく、丸背クロス装に製本します。


主な作業内容は、ドライクリーニング、表紙および本文ページの補修。 
本文紙を揃え直して三方断ちし、表紙、裏表紙を本文に組み込れ、麻フィセルの支持体に麻糸で綴じます。

開閉がよくなるように幅広クータをつけ、麻クロス装のくるみ製本の仕様で製本。
元の表紙の部分を撮影してタイトルを作成、貼りこんで完成です。



修復・製本 藤井敬子

ウェブへの掲載をご許可くださいましたご依頼主に感謝いたします。

2016年11月16日水曜日

アルバムの修復

昭和30年代初期の写真アルバムの修復です。



修復前の状態
中身の背の割れ、表紙材の破れのため、開く事が難しい状態。
カバーの紙はセロテープで固定してある。色見返しは変色している。

修復方針
閲覧できるように、将来にわたって保存できるように修復する。
元の雰囲気を変えないように直す。カバーとして使われている包装紙は、ケースに使用して残す。



主な作業
中身:ドライクリーニング、破れを和紙で補修。割れた背を貼り合わせ、背固めをし寒冷紗を貼る。新規花ぎれ、クータ、新規色見返しをつける。
表紙:背部分の布を色を合わせた和紙で裏打ちし、さらにキャラコ布を裏打ちして表紙とつなぐ。表紙の損傷部を和紙で補修。補彩および全体にセルロース糊溶液の塗布。

ちり厚の中敷き付きスリップケースの制作。

結果:元の雰囲気を残しながら強度をもった修復ができた事で、オーナー様にも満足していただけた。

(修復担当:近藤理恵)
掲載をご許可くださったご依頼主に感謝いたします。本の修復工房ウェブサイトにも掲載していますのでどうぞご覧ください。