半導体に関する工学書を修復しました。
Power Semiconductor
Devices おもて表紙
「ページがばらばらになっている」というメールにてのご一報後、実際の資料を送っていただいたところ、あじろ綴じによる資料のブロック分割と判明しました。英語によるコメントや計算式などの書き込みが随所に見られることから、今後も頻繁に参照される可能性を考え、糸かがりによる、綴じのしっかりした本に仕立て直しました。
ブロック分割状態
折丁の背修理後
目引後
本かがり
貼り込み部分
今回の修復で留意すべき点は、元の表紙の背幅に収めるため、糸かがりした本体の背幅をできるだけ元の背幅から増やさないことでした。そのため、折丁の修理も外側のみとし、あじろ綴じの切り込みがない部分に、どのように目引穴を開けるかを検討、修理の和紙を貼る前に穴の位置を決め、ゲージを作りました。
表紙の傷みについては、小口の角に表装材の欠損と芯材のほぐれが見られたので糊留めし、工業製本ゆえ代替の紙がないので、薄手和紙を貼り込みました。
資料をご返却後、ご依頼主からは「絶版になったので買い替えるわけにもいかず、困っておりました。きれいにしっかりと修復されていて、また気持ちよく読み返すことができそうです。」というご連絡をいただきました。
記録の公開をご快諾いただきましたご依頼主に、感謝いたします。
0 件のコメント:
コメントを投稿