背の外れ
背の一部欠損
当初、背革のみ新しい革に替えるつもりだったが、平の革も傷みがあり、金線を残し、革全体を替えることを提案、ご依頼主から承諾をいただいた。見返しはオリジナルが主張が少ない模様と色のマーブル紙だったが、同様のものが見つからず、ドイツの糊染め紙に置き換えることを提案した。
背の代替作業
オリジナル見返し
まずはオリジナルの見返しをはずし、前回担当した洋書同様、綴じの支持体を新しく追加し、これで平の表紙をつなげた。新しい革を貼り、新たな見返しを貼った。図版ページのノドや折り返しの部分に破損が多く、これを薄手和紙で繕い、扉の前の図版ページの合紙を和紙に取り替えた。中性紙による保護ジャケットと、本体の重みを支える台座付きの保存箱を作成した。
ご依頼主からは、「修理前のイメージを残しながら、今後も長く保存可能な修理をしていただき感謝しています」というお言葉をいただきました。
記録の公開をご快諾いただきましたご依頼主に、感謝いたします。
修復・記録:平まどか タイトル押し:近藤理恵