聖書の修復
聖書の修復をお引き受けした。破損状況としては、最初と最後のページが本体から離れ、表紙の側についた状態であったことと、綴じは概ね良好だったが、若干ゆるみが見られることがあった。これからも永きにわたり読み続けられるよう、必要と思うことはしてほしいというご依頼主のご希望だったので、解体して再製本をすることにした。
修復前の表装材の様子
本文ページのしわ折れ
付箋が20か所以上にわたり貼られていた。粘着部分が将来、ページにシミをつくる恐れがあることをご説明し、了解を得て付箋を取り外し、粘着部分に和紙を貼り、元のページに戻すことにした。
付箋のページ
本体を折丁ごとに解体後、表装材についているページを外し、しわ折れを直してから、最初と最後の折丁に組み立て直した。他の折丁もノドの傷みがあるものを修復した。
支持体を使った本かがりの後、背固めを行った。表紙と同じ山羊革で作った花切れを貼り付け、絹糸で本体に綴付けた。クータ(背の補強のための、チューブ状にした紙)を背に貼り付け、本体作業を完了。
花ぎれ綴付け
厚手の紙で表紙芯材を作り、革の切り出しをした。革漉き後、芯材に表紙貼り。
背に「聖書」と金箔押しをした後、本体に表紙を取り付けた(背、見返し貼り)。
中性紙による保護ジャケットを作成した。
作業終了後
表紙
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ご依頼主からは、「別物のように美しく仕上げていただいた」というお言葉をいただきました。深い想いが感じられる聖書の修復にかかわることができ、気持ちよく仕事ができましたことを、ご依頼主様に心より感謝いたします。
修復、製本、タイトル押し: 平まどか
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