2024年9月29日日曜日

たれつき表紙の聖書の修復

たれつき表紙の聖書修復を行った。本体の綴じはしっかりしていたが、表装材の「たれ」になっている箇所(四つの角、天地)に傷みがあり、新しい表装材に替えることになった。

 

修復前の表装材 背の天

修復前の表装材 角

ページ間のクリーニング中に、奥付ページのノドの破れを発見。表紙から支持体の布テープをはがし、表紙と本体を分離させたのち、奥付ページの修理を行った。

 

表紙をはがす

最終頁ノドの修理 

見返しの汚れが目立ったので新しい見返しに替え、保護のためのギャルドブランシュも新たに付け加えることにした。綴じ全体はしっかりしているものの、前と後ろのいくつかの折丁のノドに若干のゆるみがあり、ギャルドとそれら折丁の間を綴じてもゆるみが解消されないと判断、先に背固めをして寒冷紗を貼った上から、前後の折丁とギャルドの間を糸綴じ、再び膠で背固めをした。


ギャルドブランシュの本体への綴じ

 

新たな2本のしおりひもをつけ、花切れ、補強のためのクータ(チューブ状にした紙)を貼って、中身の作業を終えた。

表紙芯材の切り出し、革の切り出し、革漉きを経て、表紙貼りを行った。本体と背表紙を付け、内側の埋め立て(コンブラージュ)まで行い、箔押し作業に移行した。画像6 表紙貼り 内側の埋め立て(コンブラージュ)まで行い、箔押し作業に移行した。

表紙貼り 内側

元の見返し

新たな見返し
 

 箔押し作業から本が戻り、見返しきき紙を糊付けし、作業終了。

新たな背表紙
 
空押し線装飾

背表紙


たれつき表紙への改装は普段あまり機会がなく、事前にスタディを行ったのち、ご依頼の聖書改装に臨みました。貴重な経験となりました。

記録の公開にご快諾をいただきましたことを、ご依頼主に感謝いたします


修復、改装: 平まどか  タイトル押し、空押し装飾: 近藤理恵



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